一瞬の思考がもたらすもの

もう20年以上前のことになるが、ある方(A氏としましょう)の講演会に行ったときに話されたことを今でも覚えています。

以前、別の会場でA氏が講演し終わって、握手会があった時に、手袋をつけたまま手を差し出された方がいて、「握手するのになんて失礼な人だ」と思って、いつものようにギュッと握手したそうです。

その瞬間、手に異様な感覚を覚えて、何か柔らかい握り感覚を受けたそうです。

すると、その手袋をされた方がA氏に涙を流して、感謝のことばをこう言われたそうです。

「私は表皮が無くて、皮膚が弱くて日にも当てることが出来ません。そのため手袋をしているんです。気持ち悪がって、握手とかしてもらえません。でもAさんは私の手を握ってくださって、本当に嬉しかった」

と、それを聞いた瞬間、その方は、衝撃が走ったそうです。

そうとは知らず、見た目だけで判断して、失礼だと思ってそっけなく握手した自分に、まさか感謝を言ってもらうなんて・・・

ものすごく恥ずかしくもあり、人間として自分はまだまだだなあと、反省したと言われていました。

日常的に生活をしていると、見るもの、聞くもの、触るもの、或いは臭いを嗅いでみるもの。

私達は生きてきた経験上の判断材料で、それらを一瞬にしてどんなものなのかを見立てています。

これは別に変なことではなく人間本来が持っている脳の機能です。

一瞬にして、見立てることで安全なのか、どういうものなのかを判断して、次の行動に移るための準備を体の筋肉に指令を出すからと言われています。

その情報の中に、今回の場合の情報が無かっただけです。

人は何かを感じて、即行動に移るのですが、その行動の前に一瞬にして自動的に起きる思考があります。

「自動思考」と言います。

この自動思考は外界からのルールや、思い込み、その人の気構えといったことが影響して、一瞬で思考を発します。一瞬なのでほとんど回避できません。

この自動思考を変えていく(修正していく)ことを認知療法と言います。(アーロンベックの認知療法)

この自動思考をネガティブな考えから、ポジティブとは言いませんが、少しでも前向きなほうに修正することで、改善された行動に向かうことになります。

過去に起きた事象は変えることはできません。しかし、捉え方は変えることが出来ます。

時間が掛かるかもですが、捉え方を変えると、思考が変わってくると思います。

自動思考は誰でも持っています。これを優しい思考に変えれたら、割り込みされてもイライラしない、誰かのちょっとしたミスもイライラしない自分になれるかもですね。

興味がある方はご連絡ください。セミナーもやっていきますので、ご参加してみてください。

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