「問い」続けることがキャリアになる
キャリア教育において、近年もっとも重要視されているキーワードの一つが
「問い」
です。単に知識を蓄えるのではなく、自分自身や社会に対してどのような「問い」を
立てられるかが、これからのキャリア形成の鍵となります。今回はこの「問い」に
ついて少し考えてみたいと思います。
1.なぜ今、キャリア教育で「問い」が必要なのか?
今までのキャリア教育は、「どの職業に就くか(Occupation)」という出口を探すことが
中心でした。しかし、変化の激しい現代(VUCAの時代)においては、既存の職業が消滅
したり、新しい仕事が次々と生まれたりします。こうした正解のない時代を生き抜くためには、
「与えられた課題を解く力」以上に「自ら課題(問い)を見つける力」
が求められています。
2.キャリアにおける「3つの問い」の構造
キャリア教育で扱われる「問い」は、大きく分けて以下の3つの階層に分類されます。
① 自己への問い(Being)
「自分は何を大切にしているのか?」「何にワクワクするのか?」という、
自分の内面や価値観を掘り下げる問いです。
例えば 「時間を忘れて没頭できることは何か?」「自分にとっての『幸せ』の定義は?」
などです。
② 社会への問い(Connecting)
「社会にはどのような課題があるのか?」「なぜこの仕組みはこうなっているのか?」と、
外の世界に目を向ける問いです。
例えば 「この不便さを解消するにはどうすればいいか?」「10年後のこの街はどうなって
いるべきか?」などです。
③ 橋渡しの問い(Action)
自己と社会を繋ぎ、具体的なアクションを引き出す問いです。
例えば「自分の得意なことで、あの人を笑顔にするには?」「今の学びは、将来の社会に
どう貢献できるか?」などです。
3.「良い問い」がもたらす3つの効果
キャリアの文脈で質の高い問いを立てることは、学習する者(子どもや学生、あるいは
リスキリング中の大人)に以下の変化をもたらすと考えます。
・当事者意識の醸成
誰かに決められた進路ではなく、自らの問いの答えを探すプロセスになるため、
人生に対する主体性が生まれます。
・探究心の持続
「答え」は一度出せば終わりですが、「問い」は深まり続けます。これが生涯に
わたって学び続ける「ライフログ・ラーニング」の原動力となります。
・レジリエンス(回復力)の向上
挫折に直面しても、「この経験から何が学べるか?」「次はどう動くべきか?」という
問いを自分に投げかけることで、柔軟にキャリアを再構築できます。
4.問い続けることがキャリアになる
「問い」というのは、答えを見つけるための質問的行為ではなく、選択するため、
あるいは、考える、進む、止まる、振り返る、見渡すなどの選択肢をもった行為である
事がわかるかと思います。そして、「問い」に白黒の様な、答えが必ずしもあるわけでは
なく、人それぞれの次へ繋がる道があるのだという事になります。
キャリアとは、点(就職)ではなく線(生き方)です。
「自分は何者として生きていきたいか?」
この本質的な問いを抱え続け、試行錯誤を繰り返すプロセスそのものが、あなただけの
「キャリア」を形作っていきます。
今日、あなたは自分にどんな「問い」を投げかけましたか?



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